⭐️動画で学びたい方はこちらをクリック!!
☆血管解剖
✔椎骨動脈(VA:vertebral artery)
✔左右とも鎖骨下動脈→椎骨動脈→橋の下縁レベルで合流して脳底動脈(BA:basilar artery)となる
✔脊椎の横突孔を通って硬膜を貫通し、頭蓋内に入る
✔後方循環系として脳の後方の栄養に関与する血管
✔椎骨動脈から分岐する血管として、前脊椎動脈と後下小脳動脈がある
✔特に小脳の下部を栄養する後下小脳動脈(PICA:posterior inferior cerebellar artery)が重要
☆椎骨動脈のセグメント
V1::鎖骨下動脈後上面の起始部から第6頸椎横突孔までの部分
V2: 第2頸椎横突孔までの垂直上行部分で末梢側では外上方に走行して第2頸椎横突孔に入るまでの部分。
V3: 第2頸椎横突孔、次いで第1頸椎横突孔を通り、第1頸椎後弓上面の上関節突起後方にある椎骨動脈溝を後内方に走行した後,上前方に届曲して後環椎後頭膜を貫通し硬膜内に入るまでの部分
V4: 硬膜内に入った後,前内上方に走行して大後頭孔経由で頭蓋内に入り、延髄または橋延髄移行部の前方で対側椎骨動脈と合流するまでの部分
☆正常変異・破格
▨低形成(Hypoplasia )
✔一方が細い破格
✔同サイズ:25% 右低形成:50% 左低形成:25% [文献1]
✔通常臨床的意義はないが、太い方の血管が脳梗塞となった場合、重篤化する可能性がある
✔低形成と疾患の鑑別にはBPASが有効
MRAが「流れ」を画像化しているのにに対し、BPASは脳脊髄液に投影された「血管の壁」を見ているため、BPASのサイズが実際の壁のサイズとなる
☆胎児型に関して
✔椎骨動脈の低形成に関して、血管が前方循環優位なのか後方循環優位なのか観察することは重要である
✔後方循環優位とは、後方の血管である椎骨動脈→脳底動脈→後大脳動脈の流れで後方を栄養すること
✔前方循環優位とは、前方循環系である内頚動脈から後交通動脈→後大脳動脈を栄養すること
その場合には後方循環系があまり役割を果たしていないため低形成になる傾向がある
→内頚動脈からの血流で後方循環系を栄養する「胎児型」では両側の椎骨動脈が低形成のことがある
✔MRAで後交通動脈が明瞭に描出されている場合はその部分の流れが強く、内頚動脈→後交通動脈→後大脳動脈の胎児型を示唆する
左図で脳底動脈から椎骨動脈の後方循環系が低形成であるが、右図で黄色矢印の後交通動脈が明瞭に描出されており胎児型と考えられる
▨窓形成(fenestration)
✔1本の動脈が分岐して再度合流する破格
☆参考書籍
[書籍1]秀潤社 脳MRI 1.正常解剖 第2版 高橋昭喜
☆参考文献
[文献1]Katsanos, et al.European Neurology, 70(1-2), 78-83.